プルアさんのハイラル解説コーナー1~古代文明とゾナウの謎考察~
-ハテノ古代研究所-
プルア「チェッキー☆ 皆元気してるかな~?」
プルア「今日はね、記憶がぶっ飛んじゃったリンクのために、アタシがハイラルの歴史について色々とお話してあげちゃうよ」
リンク「いえ、大丈夫です」
プルア「は? いやいや大丈夫じゃないでしょ。昔のあれこれについて、リンク絶対忘れてるじゃん」
リンク「そうですけど、その辺はまぁ追々思い出せばいいかなって」
プルア「はいほ~い」
プルア「ってなるわけないでしょアンタバカなの? だいたいアンタってば記憶喪失なのをイイコトに、別世界各地で色んなキャラになっちゃってんのよ自覚あるの?」
リンク「べ、別世界の話までされても」
プルア「と・に・か・く! 今日はみっちり話をしてあげるから、覚悟なさい!」
リンク「覚悟しなきゃいけない話なのか……」
プルアの解説第一弾! 今回はハイラルの歴史、主に100年前の出来事や古代文明に関して話してくれるようです。
*本編のネタバレを含んでいます。ご注意ください
*内容は基本的に原作通りですが、一部書き手による考察や二次設定が含まれます
Q1:リンクの辿った経緯って?
プルア「おっ、早速質問がきたね。それじゃ、答えてくよ~」
リンク「え、質問なんてどこから」
プルア「細かいことは気にしなーい! そんなんいちいち気にしてたら時間がどれだけあっても足りなくなるわよ」
リンク「(今の時間は細かい事を話す時間じゃないのか……?)」
プルア「は? これは大事な事なんだけど?」
リンク「ごく自然に頭の中を読まないでください!」
プルア「あーもうなんでもいいから。とにかく、アンタは100年の間回生の祠で眠りに就いていた。で、ゼルダ姫に呼ばれて目を覚まし、ガノンを討伐することになった。これはオッケー?」
リンク「それは目覚めてから辿った経緯ですしね」
プルア「これはアタシも後から聞いた話なんだけど、実はその時点……正確に言えばその少し前の時点から、各地では色んな事が起こり始めてたのね。そう、アンタの回生に合わせて」
リンク「え、そうなんですか?」
プルア「ほ~ら、知らないことだらけでしょ。まぁ知らなくて当然っちゃ当然なんだけどさ。まぁとにかく、諸々の条件を取り揃えたアンタが回生するという事は、思った以上に物凄いことだったのね」
リンク「例えば?」
プルア「ガノンの怨念が活性化しだしたのも、リンク、アンタの目覚めが近い事を察知してのこともあったみたいよ。それにあわせて、各地でガノンに支配されてしまった神獣が姿を現し人々を困らせたの」
リンク「えっ神獣って俺が起きた時期に出てきたんですか?」
プルア「もっと正確に言えば……100年前の大厄災のとき、神獣は全部乗っ取られたじゃない? だけど、ゼルダ姫の活躍によってガノンの力が封じ込められたからか、神獣達はそれからずっと姿を消してたのよ」
リンク「ガノンを封じる力が弱まってきてガノンが活性化してきていた、という話は聞いてましたけど……」
プルア「そう、それもある。彼女を責めるわけじゃ勿論ないけど、ガノンを封じる力が弱まった事で神獣は再び姿を現した。まぁ、皮肉なものよね。そのおかげで、こうしてアンタが神獣に乗り込んで取り戻す事ができたんだから」
リンク「英傑達の魂だって、カースガノンが神獣に閉じ込めてたんですよね。だから彼らはずっと神獣にい続けたし、だからこそ俺は彼らと再会できた……」
プルア「ほんとにね。でも、今回のことについてはほんと敵も味方も皮肉なことだらけ。ガノンだって、前アタシが言った通り、自分で自分の首絞めてるトコあるからね」
リンク「塔の話ですっけ」
プルア「そうそう。始まりの塔ね。塔の役割は知っての通り……うーん、これどこから話したらいいかな?」
ゼルダ「勇導石や古代エネルギーの話からしてはどうでしょう?」
プルア「おっ、おかえり~。言ってたキノコ見つけてきてくれた?」
ゼルダ「なんとかこの通り」
プルア「さっすが! これで研究も進むわ~」
リンク「えっ、姫様に雑用させてたんですか!?」
ゼルダ「リンク、私が進んで手伝いを申し出たのです。それより、以前の話をしているのでしょう? 私も聞かせてください」
プルア「もっちろん」
リンク「(まさか姫様まで来るなんて……はぁ、これじゃあ用事思い出して逃げる事もできないな……というか、最初の質問みたいなやつなんだったんだ? ころころ話が転じていくから、質問の意味なくないか?)」
プルア「えーっと、どこまで話したっけ? 塔がどうとかの所か。ねえリンク、塔ってそもそも何のためにあると思う?」
リンク「何って……マップ開放?」
プルア「それは勿論なんだけど、それが主な機能ってわけじゃないのはわかるでしょ? 地図乗っけるだけのためにあんな大規模なもん普通は作らないし」
リンク「それはまぁ」
プルア「あれはね、元はガノンが復活したりその兆しが見えた時に反応して知らせてくれるためのものだったらしいのよ」
リンク「らしい?」
ゼルダ「元々塔や祠というのは、私達が生まれる前からあるものです。それも、1万年前から」
プルア「考えてみればそれも当たり前よね。ガノンとの戦いは遙か昔から伝説として語り継がれてきたことだし。最後にあったのも、今回を除けば1万年前なわけで。まぁ、そんな昔のこと言われても御伽噺にしか聞こえなかったわけだけど」
リンク「その御伽噺が本当に起きてしまった……てことは、それを察知できたのは塔のおかげ? あれ、でも塔ってずっと埋まってたんですよね」
プルア「そう先を急がないの。話すにも順序ってもんがあるんだから」
リンク「はい……」
プルア「塔には元々そういう役割があった。で、その塔を起動するにはリンクが今持ってるシーカーストーンが必要ってワケ。あ、ちなみにそれアタシが命名したから」
リンク「…………」
プルア「なんで微妙な顔すんのよ失礼ね。まぁいいわ。で、塔にアクセスしたら勇導石から水みたいなの出てくるでしょ?」
リンク「ですね。あれ何なんです?」
プルア「あれこそが古代エネルギーなの。粘性のある水みたいなもんなんだけど、そのエネルギーを伝える事でそれの持つ情報がシーカーストーンにも伝わるってわけ。ここにあるやつもそう」
ゼルダ「この勇導石はハイラル城から持ってきたものですね」
プルア「そう。何とかこれを持ち出してきてね。ロベリーも持ってったけど、ご存知の通り彼はなんか変なのに作り変えてたでしょ? 名前忘れたけど」
リンク「でも、インパさんは勇導石持ってないんですよね」
プルア「インパはまぁアタシの事があったから研究チームに関わり持っただけだし? まぁそれは今回はいいんだって。で、塔だけど、これが結構地中深くに埋まってたりするのよね。ちょっとやそっとの発掘じゃ見つからないくらいに」
ゼルダ「かのアッカレ砦建設の際にさえ、塔は見つからなかったわけですからね……本当に、砦の真ん中にあるというのに」
プルア「すごいもんよね。15もの塔が、これまで1万年もの間誰にも見つかる事無く地中に埋まってたんだから。アッカレのそれみたいに、場所によっては見つかる可能性があるような所だってあったはずなのに、リンクが始まりの塔にアクセスするまで誰一人としてその存在に気がつかなかったんだからね」
リンク「でも、あの場所は姫様が示してくれたんですよね」
ゼルダ「大厄災が起きる少し前に、この機能について気がついたのです。もっと早くに気づいていれば……」
プルア「そういうのは言い出しても仕方ないでしょ。いいのいいの。まぁともあれ、始まりの塔にアクセスできたことで、それがハイラル城近辺にあると思われる制御装置のようなものに伝達されて、そこから各塔や祠へ更に伝えられたってわけ。それで他の塔も、ニョキニョキっと姿を現したのよ」
リンク「なんか、思ってた以上にすごいことだった……」
プルア「でしょでしょ? でもこんなん序の口だからね。まぁその制御装置らしきものもまだ見つかってないし、特にハイラル城の辺りは掘り返せば色んなものがわんさか出てくるに違いないわ」
ゼルダ「お城の建設も目処がたっていませんし、いっそ全部掘り起こすというのもいいかもしれませんね」
プルア「おっ、それは面白そう。やってみちゃう?」
リンク「(一国の姫が城の建設より建設地の掘り起こしと研究を優先しようとしている……うーん)」
プルア「祠も祠で、塔からの情報が無ければそもそも機能しなかった。まさか既に見えているものより、見えていないものから始めないといけないなんて誰も思わないわよね」
ゼルダ「とても複雑な思いではあります」
プルア「電池の入ってないおもちゃのスイッチをひたすらオンオフ繰り返してたのよ、何も起きなくてアッタリマエ。でも、そう思えば100年前の大厄災はゼルダ姫が力に目覚めなかったら本当に世界は終わってたってこと……長いことほんとに頑張ったわね」
ゼルダ「ありがとうございます。でも、皆さんのお力添えあってのことですから」
プルア「それで……あれ? 元々なんの話だったっけ……そうそう、ガノンも皮肉って言ったけど、始まりの塔が先っちょだけ出てたのってあれたぶんガノンやガーディアンたちが暴れたからなのよね。つまり、自分で自分に都合の悪いものを掘り起こしちゃったってわけ。しかも、条件を取り揃えた勇者、リンクが回生するすぐ近くの塔をね」
ゼルダ「あの辺りも手ひどい被害に遭いましたからね……ハイラル城から離れた地で言えば、各砦と並んで被害が大きい場所です」
プルア「あそこには時の神殿とその東の神殿があったからね。そういう、反勢力になりそうなものは優先してつぶしにかかったんじゃないかなって」
リンク「大きな建物ですしね」
プルア「今じゃ瓦礫だらけだし砂や岩や水であちこち埋まってるしでわかりにくいと思うけど、ハイラル平原から神殿まで続く道が本当はちゃんとあったのよ。神殿やその周辺が破壊されたときの土砂で、もはや完全に出入り口を失ってるけどね」
ゼルダ「復興を急ぎたいですが、どうしても人のいない所は後回しになってしまいますね」
プルア「いいのいいのそれで。まずはハイラル城周辺を掘り返すのが先」
リンク「いや、それこそ後でしょう……」
プルア「何いってんの。掘り返さないと城建てらんないでしょ!」
リンク「(掘らないという選択肢は無いらしい……)」
プルア「あーもう閑話休題閑話休題! 塔については粗方わかったかな? ついでだから祠についても少し話しておくけど、祠の試練をクリアすると導師に会うでしょ? あれってシーカー族の祖先なのよね」
リンク「なんとなくわかります」
プルア「自分で言うのもなんだけどシーカー族っていうのは、一部を除いて本当によくできた民族なのよね。技術力、戦闘力、思考力、どこをとっても他の部族に引けはとらない」
ゼルダ「実際、今回の件だけで考えても、そのほとんどがシーカー族の文明による恩恵ですしね」
プルア「ガノンだって元はゲルド族の人間。そう思うと、厄災化したとはいえ他民族に矛を向けてるようでほんのちょこっとだけ悪い気はしないでもないけど……ともあれ、シーカー族の分明って、1万年前にハイラル国から不当に追い出されるくらい優れたものなのね」
ゼルダ「それでいて、100年前のときにも和解にも応じてくださいました。本当にありがたいことです」
プルア「まぁもっと細かいことを言えば、ハイラルの女神の生まれ変わりと言われるハイラルの姫を守る事がシーカー族の使命とも言われてるからね。今のアタシ達がどうこう考える以前のことだったりするのよ」
ゼルダ「けれど、その不当な追放によって、一部の者達は……」
プルア「……リンクもよく会ったでしょ? イーガ団、だっけ。なんか最近そう名乗ってるみたいね? 彼らもシーカー族なのは知ってると思うけど、彼らはアタシたちと袂を分かって反ハイラル派になった一族の末裔なのよ。不当な追放への反発……気持ちはわかるけど、彼らは使命を捨てた。シーカー族である事を捨てた……」
プルア「ううん、この話はやめましょ。いつかまた、そうね、いつか話すわ」
リンク「(イーガ団はまだ各地に潜んでる……昔はガノン崇拝として活動してたみたいだけど、今はガノンの厄災とは関係が無い所で活動してる。それこそ、少し前は長のコーガ崇拝みたいになってたな)」
プルア「で、そうそう。祠の導師はシーカー族! あの導師にも位があったりして、例えば力の試練ってあったじゃない。あれの場合、カカリコ村にあるタロ・ニヒの祠の導師が最上位なんだよ?」
リンク「それは全く知らなかったです」
プルア「細かい事はアタシも知らないんだけど、導師の中にもそういうのはあったみたいね。で、元々祠ってのは勇者のためのもので、アンタもその恩恵は受けたでしょ?」
リンク「たんまりと」
プルア「要するに、そこらじゅうのもの全部が対ガノンに作られたもの……よく考えなくても、すごいことよね。今を生きるアタシたちは、それをただ研究して活用してるだけなんだから。うーん、悔しい……何か新しい発明を……」
Q2:リンクの辿った経緯を教えて
リンク「なんか質問内容が同じなんですが」
プルア「だってそれ説明してないもん」
リンク「もんじゃないですよ、話がそれすぎなんです」
プルア「てへ☆」
リンク「(歳を考えてほしい)」
プルア「あ?」
リンク「だから自然と頭の中を読まないでください!」
プルア「そーゆー勘は働くの。女だからね」
リンク「どんな勘ですか……って、姫様も頷かないでくださいよ」
ゼルダ「ふふっ」
リンク「はぁ……ミファーやウルボザに訊いたってそうやって笑われそうだ」
プルア「まぁそうだったでしょうねー。さて、じゃあリンクの経緯をちゃんと辿ってみますか」
リンク「経緯と言われても……100年前の事ですか?」
プルア「どっちかっていうとそうかな? 起きてからのことはご存知の通りって感じだし」
リンク「何より自分自身の事ですからね」
プルア「それは100年前も同じってゆーか……とにかく、厄災前にどんな動きがあったのか、その時ハイラルはどうなっていたのか……それを説明して今日は終わりましょ」
リンク「まだ2問しかきてませんよ!? しかも同じ質問だし……」
プルア「お望みとあらば延々色んな事を語ってあげてもいいんだけど、あいにくアタシも暇じゃないし」
リンク「それなら今終わっても良い気が……」
プルア「じゃ、話していくわよ。ちょっと真面目に」
リンク「ちょっとなのか……(また話がそれそうな予感……)」
プルア「まず、厄災が起きる前ね。ハイラルでは、ガノン復活の兆しがあるとの話を受けて、古代遺物の研究が始まったの。その時、アタシやロベリーの才能が認められて、研究チームに加わったのね」
ゼルダ「幼いながらに、プルアたちの研究に興味津々だったことを覚えています」
プルア「ゼルダ姫が研究に加わったときにシーカーストーンが見つかったのよね。丁度、ミファー達にオファーしてた頃かな?」
リンク「(ミファーにオファー……)」
プルア「遺物の研究を始めると、出てくる出てくる、神獣やらガーディアンやら。ガーディアンについては満足に数が見つかったわけじゃなかったけど、それでも研究するには充分な数が見つかったわ」
ゼルダ「とりわけ神獣については、神話でも要として描かれていましたし、中心的に研究されていましたね」
プルア「繰り手が必要って事もわかってたしね。訓練が必要なら早い方がいい」
リンク「前から思ってたんですけど、ガノン復活の予兆って、誰が言い出したことなんですか? 実際当たっててすごいというか、そんな人の事なら各地で噂にくらいなってもいいと思うんですけど、全く耳にした事が無いです」
プルア「アンタも割と鋭いね。実を言うと、それがどこの誰かっていうのは、アタシも知らないの。『占い師』とだけ聞いてる」
ゼルダ「私も幼かったので、実際に会った事もあったのかもしれませんけど、覚えがありません……」
リンク「でも、当時のハイラル王に神話の出来事が実際に起きると信じ込ませ、国を上げて調査に乗り出すことを決めさせたわけですよね。その占い師って、結構な地位の人物だったんじゃ……」
プルア「少なくともアタシみたいないち研究者よりは上でしょうね。もしかしたら研究長であり執政補佐官だったインパより、いやもっともっと上の……」
ゼルダ「噂には聞いた事があります。誰も立ち入れない部屋が隠されていたり、王自らが伝言を行いに向かう場所があるといわれていたり……あっ、そういえば一度、夜中に出かける父のあとを追ってみた事があるのです」
リンク「えっ」
ゼルダ「途中で見失ってしまいましたけど……」
プルア「とにかく、謎に包まれた人物なのよね。ただ、これについてはアタシもちょっと興味があって、ある仮説を立ててるんだけど」
リンク「それはどういう?」
プルア「ゾナウ文明、って知ってる?」
リンク「全く知らないです」
プルア「昔、フィローネ地方で栄えていたとされる文明なんだけどね。ゾナウは数千年前に滅んだ民族とされてるんだけど、彼らの生態については謎が多いのよ。二人は勇気の泉、行った事あるでしょ?」
ゼルダ「はい」
リンク「かなり険しい道のりでしたね。あの辺りが、ゾナウの? そういえばゾナウ遺跡群って地名だったような」
プルア「そ。彼らは水辺、特に樹海の辺りに文明を栄えていたとされるんだけど、詳しいことは何一つわかっていないのよね。あれだけの大きな遺跡を幾つも作る技術があった事は確かだけど」
ゼルダ「そういえば泉のある場所には、大きな竜の顔と手ような遺跡がありました」
プルア「近くにはフロドラが出現する、フロリア湖とフロリア大滝があるからね。もしかしたら、フロドラ信仰でもあったのかもしれない。そう思えば、泉やその祠はフロドラで繋がっていたのかも」
ゼルダ「というと?」
プルア「祠のいくつかは、ゾナウの遺跡によく似た模様やつくりの遺物と一緒にあるのよ。この事からゾナウと祠は何らかの関係があるのかもっていう研究もあるんだけど……友達の友達は友達みたいな? なんかそういう話でも説明がつくなって、今ふと思ったの」
ゼルダ「自分たちが文明を築いていた地には泉と祠があった。そのよしみとして、各地の祠の幾つかにも友好の証として遺物を残したと」
プルア「うん。もしそこで友好が芽生えていたのなら、祠、ううんシーカー族や関係するハイリアの文明に、少なくとも好意的な関わりがあったとしても不思議ではない……なにこれ、繋がりそうなんだけど」
リンク「全然話が見えないんですけど……」
プルア「彼らにはまじないの力があるとされている……友好の証……残された数多くの遺跡……」
リンク「長考入っちゃった感じ?」
ゼルダ「す、すぐに戻ってくると思いますけどね」
プルア「…………! わかったー! かも」
リンク「かもって」
プルア「どこから話したもんか……んじゃ結論話すね。アタシね、わかっちゃった。ハイリア王にガノン復活の予兆を占ったのって、ゾナウの末裔だと思うのよ」
リンク「まぁ、話の流れからしてそうでしたね」
プルア「んあー、今のは驚いてほしいトコなんだけど……まぁいいわ。それでね、さっきの話もなんだけど、リンクさ、各地で変な細長い遺物見かけたことない?」
リンク「細長いって、そんなの沢山ありますけど……」
プルア「石でできたやつ! 櫓みたいな」
リンク「あぁ、宝箱がよく上にあるやつですね」
プルア「はいよく思い出せました♪ あれもおそらくゾナウの作った塔なのよ。あれってもしかしたら、シーカータワーと何か関係があるんじゃないかって思って」
リンク「えー?」
プルア「そういう顔するのもわかるけど、ただの仮説だからね」
ゼルダ「横槍をいれず聞いてみましょう」
リンク「へいへい」
プルア「むー……つまり、アタシの考えはこう。その昔、シーカー族とゾナウ族は友好関係にあった。元々関係があったのか何かの拍子に仲良くなったのかそれはわからないけど……とにかく、それぞれに何らかの繋がりがあったのよ」
プルア「まぁ元が同じ部族、っていう考えにはアタシは否定的かな。例えばカカリコ村にあるシーカーの道祖神は蝦蟇。ゾナウが信仰したと思われるのは龍と梟と豚。この点において違いが見られるからね。他にもまぁ理由は色々あるけど、それは今はいいとして」
プルア「例えばさっき話したゾナウ塔だけど、これってもしかしたらシーカータワーの基になったんじゃないかなって思ったの。神獣の開発が約1万年前だから、きっとその頃かもう少し前に、ガノンに対抗する手立てを共に考えてたんじゃないかなって。ガノンに対するかつての開発は、その辺が基になってるようにも思えるんだよね」
ゼルダ「そう思うと色々と説明がつきますね……シーカー族だけではなしえなかった事を、ゾナウ族が何らかの形で補填していたとすれば、ハイラルの文献などにその詳細が残っていないのもわかります」
プルア「もしかしたら関わり自体は隠したかったのかもね。樹海で文明を築く辺り、外交的な文化じゃなかったと言われても納得できるわ」
ゼルダ「ゾナウにも様々いたでしょうから、シーカー族に協力的な者達とそうでない者達で分かれ、それぞれの役割を果たしたと」
プルア「アタシたちみたいに袂を分かったわけじゃなさそうだけどね。決裂したなら小さな戦争くらいにはなっただろうけど、そんな話どころか森が焼けた話さえどこにも残ってない」
ゼルダ「彼らは数千年前に滅んだという話だけしか伝わってませんね」
プルア「……アタシはもしかしたら、それはゾナウの流した嘘なんじゃないかとも思う。ゾナウは、自らの文明を世間から抹消してまで目的を果たそうとしたのかなって」
リンク「自らの文明を無かった事にしてまで? それほどまでこだわらなきゃいけない目的って何なんですか?」
プルア「仮説の更に仮説だけど……二つ考えられる。ひとつは、ガノンに満足に対抗するべく自分たちの文明を知られないよう隠すため。もうひとつは……世界の支配のため」
ゼルダ「支配、ですか……?」
プルア「アタシの仮説じゃハイラル王に助言した占い師はゾナウの末裔よ。これって言い方を変えれば、ゾナウの言った事で王が動き、世界が変わったわけでしょ」
リンク「それはそうですけど、でも確かにガノンは復活しようとしたし、それを防ぐ手立ても見つかりました」
プルア「『全部最初から知ってた』としたら?」
リンク「え……」
プルア「ガノン復活も、ある程度の周期があるのかもしれない。ゾナウは占いや研究により、その周期を割り出した……ほら、よくあるじゃない。未来の予言が書かれた石碑とか。あの手の何かを彼らは持っていて、それに従ったとか」
ゼルダ「しかし、何度も言いますがガノンは実際に復活しようとしました。たとえ占いや研究の結果であっても、その事実に変わりはありません」
プルア「勿論、純粋な占いによる未来予知かもしれない。けど、神獣や塔、祠については? 1万年も昔の話とはいえ、当時からこの地に住まう民族達は代々続いてきたのよ? 詳細な文献の一つも残っていない、なんて本当にあると思う?」
ゼルダ「それは不思議に思いますが……」
プルア「こういう言い方はあんまりしたくないけど、今となってはシーカー族の最高権力者はアタシたち……まぁアタシとロベリーは特殊な位置にいるとしても、インパでしょ。でもあの子だって、塔や祠については何も知らなかった。勿論、他のシーカー族にしても同じ。穏健派がその事実を知っていて隠しているとは考えにくい……反発した者達にしても、それを知っていたならガノンに有利な動きを見せるはず。でもそれもしなかった」
リンク「ゾナウがその事実を隠し、抹消した……未来を予知できる存在、占い師を自分たちだけに限定するために?」
プルア「悪く考えるならね~。勿論、敵を騙すなら味方からじゃないけど、外部へみだりに情報漏洩しないために情報の出所を限定していたのかも。ガノン封印に積極的なゾナウ民の協力により、今アタシたちはこうして平和を取り戻してる……のかも」
リンク「なんだか壮大すぎてよくわからないな……結局良い人たちなのか悪い人たちなのか」
プルア「結果論だけど、良い人たちなんじゃない? 現にあれから何も悪い事は起きてないし、占い師と言われる者もどこにもいない。もしかしたら、大きな災害がハイラルを襲う時にしか出てこないのかもね」
ゼルダ「私達よりもはるかに優れた文明、英知を持った方々なのですね……」
プルア「ついでにもういっこ仮説……っていうか、ただの想像でしかないんだけど、ウオトリー村の住人の一部って、もしかしたらゾナウの生き残りかもね」
リンク「そんなまさか」
プルア「彼らは、アタシたちでいう穏健派だったのかも。シーカー族に協力とかしないで、ただ温暖に生きていきたかったと願った一派が辿り着いた先……ウオトリー周辺には、ガーディアンは来なかった。遠かったから? ハイリア湖をこえられなかったから? それもあると思うけど、アタシにはもう一個思い当たる理由があるわ」
ゼルダ「それは……?」
プルア「『ゾナウは数千年前に滅んだ』」
ゼルリン「!」
プルア「ガーディアンは何より、人間のいる場所、文明が栄えている場所、重要な建造物がある場所を狙ったはず。場所で言えばハテノ砦だって充分遠いし、何ならゾナウ遺跡群とそう距離は変わらない。アタシは距離や地理的な問題より、そもそも眼中になかった……要は、もう滅んで誰もいないから、目的地として設定されなかったんじゃないかなって。まぁ怨念にそういうこと考える頭があるのかは疑問だけどね」
リンク「でも、樹海の東、ビトゥオ谷横の山には残骸が三つほど残ってました」
プルア「まぁゲルドの高いとこにもあるくらいだし、迷い込んだのは数機いたんでしょ」
プルア「ま、全部アタシが今考えた想像だけどね。どう? すごいでしょ、チェキチェキ☆」
ゼルダ「でも、とても興味深いお話でした。復興が最優先ではありますが、研究もあわせて行っていきたいですね」
プルア「古代研究には違いないしね。もうちょーっと、予算欲しいところだけどネ」
リンク「それは無理です」
プルア「わかってるけど、リンクが出してくれてもいいのよ?」
リンク「…………」
プルア「ま、ともあれゾナウの謎については今後も言及していきましょ。ほい、決まり決まり」
Q3:リンクの辿った
リンク「ほら、話がそれるからもう質問さえ最後まで書ききってもらえませんよ」
プルア「んー、じゃあ今度こそ三度目の正直!」
リンク「最初からそうしましょうよ……」
プルア「リンクの辿った経緯っても……知恵の泉からの帰り道にラネールで英傑達と合流して、そこでガノン復活を目の当たりにしたのよね」
ゼルダ「はい……私達はガノンを食い止めるべく、英傑達は神獣のもとへ、私とリンクはハイラル城へと急ぎました。でも……」
プルア「神獣達はカースガノンにより制圧され、同じく乗っ取られたガーディアンにより城下町は既に壊滅寸前。アタシ達はなすすべもなく、逃げることしかできなかった。かろうじて勇導石を持ち出して、カカリコ村に逃げ延びていたの」
ゼルダ「私達も、城に着いた頃にはもう何もかもが手遅れで……」
リンク「ウツシエの記憶を見て断片的には思い出してます……それから人々を避難誘導しながら、カカリコ村を目指して俺たちも走ったんです。でも、追っ手が酷く、少しずつ手負いになってしまって……」
ゼルダ「クロチェリー平原で、リンクは……」
リンク「でも、姫様もそこで力に目覚める事ができました」
プルア「そのおかげでハテノ砦は守りきれたと言ってもいいわね。あのアッカレ砦が没落したんだもの、ゼルダ姫の覚醒なくしてハテノ砦は、ううん、カカリコ村もハテノ村も無事ではいられなかった」
リンク「俺はそれから……回生の祠で眠ったと」
ゼルダ「そうです。インパの命で私を探しにきてくれていたシーカー族の方にあなたとシーカーストーンを託しました」
プルア「その後カカリコ村に来たゼルダにその話を聞いて、アタシとロベリーも回生の祠に急いだのよね」
ゼルダ「私はそのあと、マスターソードをコログの森へ預け、城へ向かったのです」
プルア「何かが一つ違ってたらってよく言うけど……何が違ってたら、どう変わったのかねぇ……」
ゼルダ「それでは、また近いうちに」
プルア「うんうん、うちはいつでも歓迎だよ。それじゃ、チェッキー」
リンク「便利な言葉だなー」
プルア「チャオみたいなもんよ。んじゃ、また呼ぶからね」
リンク「はい……」
プルア「ふう……喋った喋った。やっぱり若いもんと話すに限るわ、シモンじゃ話題もじじくさい……ん? 伝書鳩?」
プルア「研究に進展……新たな発見!? すごいじゃん、こうしちゃいられんわ。おーいリンクー! ゼルダ姫ー! 戻ってこーい!」
(続……いた)
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